役員への給料・賞与
社長(代表取締役)、取締役、専務、常務などの役員に対する給料は、毎月同額を払わなければいけません。
それ以上の給料を支払うと、差額分は経費になりません。
理由は、社長自身に対する給料を調整できてしまうと、会社の利益の調整を簡単にできてしまうからです。
賞与についても事前に税務署に届けなくては経費として認められません。
では、社長の配偶者への給料はどうでしょうか。
配偶者は、税法上の役員となる可能性がある
結論としては、社長が配偶者に与える給料は、ほとんどの場合で、役員と同じ扱いになります。
登記上の役員でなくても、以下の4つの要件を満たす人は、税法上の役員に該当します。
①次のいずれかの株主グループに属していること。
・持株割合が50%超の第1順位の株主グループ
・第1順位と第2順位の持株割合を足して50%超となる場合のいずれかの株主グループ
・第1順位から第3順位の持株割合をたして50%超となる場合のいずれかの株主グループ
②属している株主グループの持株割合が10%超
③持株割合が5%超(配偶者も含む)
④経営に参画していること。
ちょっと難しいですね。
株主グループというのは、ざっくりいうと株を持っている家族のことをいいます。
例えば、配偶者、母、兄が株主であれば一つの株主グループとなります。
小さい会社であればほとんどの場合で、その会社の株のすべてを社長さん1人が持っています。つまり社長の持株割合は100%。
配偶者は社長の家族なので、同じ株主グループとなります。
100%なので①②の要件は満たします。
そして③の要件ですが、カッコ書きを見ると、配偶者は、社長と一体とみなされます。
配偶者個人の持株割合は0ですが、社長と合わせて1人と考えて100%と考えます。
よって③の要件も満たします。
そして、④を満たすと、社長の奥様は、税法上の役員に該当します。
④を満たすかどうかはあいまいな部分があり、がっつり会社の社員の一員になっていたら④を満たしていますが、他にメインの勤め先がある場合などは、あてはまらない可能性が高いです。
特に賞与に注意!
「奥様に毎月支払う給料は、同額にしてください。」
と税理士から言われている社長さんは多いと思いますが、賞与については何もいわれていない場合が多いと思います。
上記のように奥様が税法上の役員に該当する場合には、ふつうの役員と同じく、事前に何円の賞与を出すかの届出を税務署にしなくてはなりません。
C1-23 事前確定届出給与に関する届出|国税庁 (nta.go.jp))
この届出の提出期限は、毎年、期の初めのほうに行われる株主総会の開催日から1ヶ月を経過する日までと決まっています。
決算間近で利益がでそうだから、他の従業員と同じく、登記上役員ではない奥様にも賞与を出そうということは、できないのです。
もし出す場合は、期のはじめの株主総会で事前に金額を決定し、届け出をしないといけません。
配偶者が税法上の役員になっていないか、十分検討しましょう。
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