令和5年10月1日以後(インボイス後)に開業したときを考える【個人事業の卸売業者】

 

インボイス後に開業したお客様

令和5年10月1日以後(インボイス制度始まり後)に開業したい個人事業主のお客様がいました。
そのお客様は、中古車販売の事業を令和5年11月からはじめます。
売上の相手が一般か事業者かによって変わりますが、とりあえずインボイスを絡めたいので、事業者相手に売り上げると考えます。

また事業を始めたばかりなので令和5年は売上は0で、令和6年から売上をあげる予定です。
よって令和5年中は仕入れだけがあります。

このような事業者はいつインボイスを登録すればいいのかベストなのか考えてみます。

令和5年にインボイスを登録する

令和5年にインボイスを登録します。
つまり令和5年から課税事業者になり、原則課税か簡易課税か選べます。

原則課税

令和5年に原則課税を選んだ場合を考えます。
原則課税なので、仕入れにかかる消費税が、仕入税額控除として引けます。
売上は0なのでそこから引ける消費税はないことから、仕入税額控除の額分まるまる還付になります。

しかしそうなるためには、次の年にも課税事業者じゃなければなりません。

理由は棚卸資産の調整があるからです。
課税→免税になると、売り上げとのバランスから、課税時に仕入れたものは免税時のものとし、仕入れにかかる消費税なかったものとします。
つまり仕入税額控除はできなくなり、還付もなくなります。

簡易課税

次に令和5年に簡易課税を選んだ場合を考えます。
簡易課税を選ぶと、課税売上によって消費税額が決まることから、仕入れにかかる消費税は一切関係なくなります。
つまり、仕入れが相当額あっても還付はされません。
売上0のときの消費税は0となるだけです。

また簡易課税を一度選択すると来年もまた簡易課税になります。

令和6年にインボイスを登録する

令和6年にインボイスを登録することを考えてみます。
よって令和6年から課税事業者になり、原則課税か簡易課税か選択できます。

原則課税

原則課税なので、令和6年に納付する消費税は、
「売上にかかる消費税ー仕入れにかかる消費税」です。

最大のポイントは、令和5年が免税事業者であるため、令和5年中に仕入れた棚卸資産にかかる消費税を調整で令和6年の仕入れにかかる消費税に含めることができます。

実質的には、令和6年に還付を受けた場合とかわりません。

簡易課税

簡易課税を受けると繰り返しになりますが、売上だけで消費税が決まります。

また、先ほど紹介した棚卸資産にかかる消費税の調整はできません。
簡易課税は仕入れにかかる消費税は関係ないので、当然かもしれませんね。

ですので先ほどの、「令和5年に消費税0→令和6年に簡易課税」の状況と変わらないです。

令和7年にインボイスの登録する

令和7年にインボイスの登録をすることを考えます。
令和6年には売上が立つ見込みなので、消費税の還付の問題は関係ありませんね。

なので関係するところは、「棚卸資産の調整」のところだけです。
先ほども述べた通り、
原則課税は「調整できる」
簡易課税は「調整できない」といったところだけです。

ですので、令和7年の売上と仕入の額によりますが、原則課税なら当期に仕入れたものと、前期の期末棚卸のものを仕入税額控除に含めることができます。

結論

選択としては以下の2つの比較になるかなと思います。

①令和5年または令和6年に原則課税でインボイスを登録する
②令和7年にインボイスを登録する

①でやると、やはり令和5年の仕入れの消費税が加味されるところがおおきいですね。
また令和5年を簡易にする場合は、令和6年の仕入れが少なかったら、もしかしたら節税になるかもしれません。
ですが令和5年の還付はなくなります。
もしやるとしたら令和5年は原則→令和6年は簡易ですね。
令和5年の消費税は還付され、令和6年は仕入れが少なかったら得になります。

そして②ですが、なんといっても、事務処理が楽になります。
令和5年と令和6年の取引の消費税の判定をしなくてよくなりますから。
しかし1年以上インボイスを発行できなくなると、事業者との取引の都合上よくないと思われますね。

最後に令和8年以後にインボイスを登録したときは?と思われる方もいると思いますが、令和6年に1000万以上の売上を考えているため、必ず課税事業者になることからインボイスの登録をしない意味はなくなります。

 

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