インボイス後に法人成りしたときの、個人事業の車両の取り扱い

 

法人成りしたときの個人事業時代の車両について

個人事業が法人成りしたときの、会計処理は少し複雑になります。

・水道光熱費、家賃などの経費の区分をどうするか。
・設立前の会社のための経費をどう処理するか。
・個人のクレカで法人の支払いをしているけどどう処理するか。

これまでは、個人名義で支払っていても法人の経費のものがあったら、各々拾ってきて、会計に反映すればよかったと思います。

ですが今回インボイスが絡んでくると、また複雑になりそうだなと思っていろいろ考えてみました。

その中でも、よくありそうな「個人事業時代に使用していた車両を法人でも利用したい場合」の経理処理やインボイスの注意点など述べていきます。

 

個人から法人所有の車両にしたい

法人成りしたとき、つまり個人事業を廃業したときに、個人事業用として車両を所有していました。

その車を法人でも使用したいという場合を今回考えます。

法人で使用したいときに考えられるのは
①個人から法人へ売却する。
②個人所有のまま法人に有償で貸す。
③個人所有のまま法人に無償で貸す。

①個人から法人へ売却する

個人から法人へ売却した場合、時価で売却します。
時価はどのように算定するかというと、中古車販売所で売られている同車種、同年代、同距離の車両をネットなどで調べて平均をとります。

法人の仕訳としては、時価20万円だとすると

(車両運搬具)20万円(普通預金)20万円

となります。

売却したときのメリットは、減価償却して法人の利益を圧縮することができます。

その他の手続きとして、売買契約書を作っておきましょう。

また車両が法人名義になるので運輸局で車検証を得るための手続きをしなければいけません。

また、法人成りした後も一期目からインボイスによる課税事業者になるときは、個人事業時代にインボイスの登録をしていなければ、仕入税額控除を受けられない点は注意が必要です。

また個人事業主の売却したことによる譲渡所得ですが、売却価額が経過年数を考慮した時価であったら、ほとんどの場合で取得時の金額より低い価額になっているので、譲渡所得は発生しにくいでしょう。(高すぎる車の場合別ですが)

 

②個人所有のまま法人に有償で貸す

貸した場合は、法人が個人に対して使用料を払います。

このときの使用料の決め方ですが、時価や取得価額を基準として決めれば無難ですが、常識の範囲内であれば何円でもいいと思います。

ただし個人では受け取った賃貸料は雑所得として確定申告をしなければいけないので高すぎると税金が発生します。

また賃貸借契約をしっかり結んでおきましょう。

消費税に関しては、売却した時と同じで、個人でインボイスを登録しなかったら使用料は仕入税額控除の対象になりません。

③個人所有のまま法人に無償で貸す

無償で貸す場合は、使用貸借契約書をつくるくらいで手続きとしては1番簡単かもしれません。

ただし経費にできるものがガソリン代くらいで、自動車税、保険、修理代は個人名義での支払いなので、負担額を案分して法人から個人へ支払います。
②の有償で貸す場合も同じですね。

また修理代などにかかる消費税を仕入税額控除の対象としたい場合は、インボイスの要件を満たすために、個人が法人へ支払明細書と修理代の領収書をつけて申請すると要件を満たせます。(従業員の経費精算に近い事務処理)

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